自啓録/ある海軍兵学校生徒の青春

戦時下の海軍兵学校に75期生として入学した父が、敗戦とともに卒業するまでの日々を綴った「自啓録」とよばれる日記をもとに、一海軍兵学校生徒の青春をふりかえります。

2019-06-12から1日間の記事一覧

(5) 昭和18年12月5日

「大いなる気持ちをもて。小さい事に心を動かすな」 と起床動作で三号生徒(※最下級生)がどなられて二号生徒(※最下級生の一学年上)のおっしゃったことが了解できかけた。 そして一号生徒(※最上級生)がどなることも暫くして了解できかけた。 そうなのだ、如何…

(4) 昭和18年12月4日

柴田教官より滅私奉公について訓話あり。 曰く「自己の犠牲で済むようなことなら当然そうすべきである」と。 本日、「棒倒し」があった。 三号(※最下級生)は見学であった。 壮烈愉快だった。 (注)原文を一部現代語訳に、旧字体は新字体に直して掲載してい…

(3) 昭和18年12月3日

一号生徒(※最上級生)は恐ろしい。 二号生徒(※最上級生の一学年下)はやさしい。 しかし一号生徒も本当は親切なのだろう。 (注)原文を一部現代語訳に、旧字体は新字体に直して掲載しています。また意味のわかりにくい言葉はカッコ書き※で注釈をつけ、原本に…